「春がきた」

春と言えば、桜が咲く、卒業式、入学式、入社式といったことが話題になることが多い。

研究者にとって春と言えば、各自の所属している学会で研究発表会が実施されることである。

日本学術会議、日本財団法人日本学術協力財団、国立研究開発法人科学技術振興機構とが連携し、実施しているデータベースである「学会名鑑」によると、日本には、令和2年3月3日現在、2051の学会があるそうである。学会の発表会は何年もかけて、研究した成果を口頭発表やポスター発表(※1)し、自分の成果を精一杯発表できる場でもあり、直接いろいろな研究者から意見をもらえる貴重な場でもある。

サカグチも久しぶりに3月下旬に実施された園芸学会の催す研究発表会に参加した。参加したといっても聴講するだけであるが、昔は学会と言えば、大学の大教室で発表する形式であったが、今はオンラインでの発表会。わざわざ現場に行かなくても、いろいろな研究者の研究成果を聞くことができる。明るいうちに聞けなかった質問を、夜の懇親会ですることが多かったが、それもオンラインとなり、学会の発表会もどんどん進化している。

 ところで、今回の研究発表会のポスター発表で(株)ミヨシと三重県農業研究所と共同育種により開発された品種登録名MYAGMIE-1、商標名ベリーポップすずに関する報告があった。この報告では、ベリーポップすず、よつぼし、かおり野を比較しているものである。

ベリーポップすずは、他の品種より強い炭疽病と萎黄病抵抗性を持つこと、果実硬度が高いこと、かおり野には年内・総収量性には及ばないが、よつぼしよりは多いこと、糖度は3品種とも同程度といった報告である。

現在、種子繁殖型品種として三好アグリテック(株)ではベリーポップすず・はるひ、よつぼしを販売している。

作りやすさの「すず」、果実の良さの「はるひ」、いつ食べても裏切らない「よつぼし」。どれも特徴がある品種でどれにしようか迷ってしまう。

本当に選べないので、もっともっとみなさんの評価を聞いてから判断することにしよう。

※1.ポスター発表とは,研究の概要をまとめた大判のポスターの前で行うプレゼンテーションの一形式

参考文献 谷村風泰、江澤祥太、小堀純奈、小栗速斗、北村八祥. 2022. 炭疽病および萎黄病に抵抗性を有するイチゴ種子繁殖型品種’MYAGMIE-1’の育成. 園芸学研究21別冊1: 214.