仲間がいるから


4月となり、新しい年度が始まったという方も多いのではと思う。
それにともない異動や新人の配属で新しい仲間ができた人が多いのでは?

そういう私も入社して2度の異動の経験があり、
受け入れる気持ちと受け入れられる気持ちの両方がよく分かる。

どちらの立場にたっても大切なのは仲間。

異動先の部署で、トラブルの対応しているときの上司の一言。
「そんなん殺されるわけやないんやから」
と言ってもらって気持ちが楽になったのを思いだした。

サカグチの回顧録になりそうなので、ここまでにする。

イチゴの品種の中には、黒く見える濃赤色から
白く見えるような淡い桃色の果皮色のものがあることはご承知のとおりである。

これらの果皮色はアントシアニンという色素によるが、
今回はアントシアニンができる工程を概説する。

アントシアニンの生合成は以下のような工程である。

(佐々木・宮原 2024)

おそらく、亀の甲羅みたいなものがいくつも登場するため、
これをみるだけでイヤになってしまった人が多いかもしれない。
これには全く触れないので、しばらくお付き合いいただければ幸いである。

唐突であるが、
「イチゴ果実」=「会社」。
色素をつくるアントシアニン生合成経路を「部」と考える。

そうすると、この図はアントシアニン生合成「部」を示していることになる。

イチゴではアントシアニンのもととなる基本骨格アグリコンが
2種類(シアニジン、ペラルゴニジン)あるが、それらを「課」とする。

つまり、イチゴ果実「会社」の中には、たくさんの部署がある。

色素を作るための「アントシアニン生合成」部があり、
その最終工程を担うのが「シアニジン」課「ペラルゴニジン」課となる。

さらに、図の中で糖修飾、有機酸修飾とあるが、
これらがアグリコンにつながってアントシアニンになる。
糖修飾、有機酸修飾が「ベテラン」から「新人」の仲間にあたる。

仲間同士のつながり、さらに、シアニジン「課」とペラルゴニジン「課」のパワーバランス、
つまりこれらの比率でイチゴの果皮色が決まることになる(Yoshida et al. 2002)。

イチゴも会社もそれぞれがそれぞれの役割を果たし、
仲間がいるからこそ、いろいろなことが成し得るんだよね。

引用文献:

佐々木伸大, 宮原平. 2024. 植物色素合成経路とその遺伝子情報を利用した新規花色開発-遺伝子情報支援型交配育種と分子育種による花き育種の現状-. 生物と化学. 62(4) : 187-193.Yoshida et al. 2002. Color and Anthocyanin Composition of Strawberry Fruit. Changes during Fruit Development and Differences among Cultivars, with Special Reference to the Occurrence of Pelargonidin 3-malonylglucoside. Engei Gakkai zasshi 71(3) : 355-361.