赤いほど・・・

子供にイチゴの絵を描かせると、ほとんどの子供が真っ赤なイチゴを描きます。
さて、赤い完熟のイチゴと青みが残るイチゴの糖度はどのような差があるのでしょうか?

イチゴの場合、糖度といっても1種類で構成されているわけではなく、フルクトース、グルコース、スクロールといった3種類の糖で構成されています。これら3種類の糖分の構成比率によって品種独自の甘みが生まれます。この中でもスクロースは濃厚な甘さを感じ、スクロースの割合が多い品種は人工甘味料のような甘みを感じるかもしれません。

これら3つの糖分は果実内への蓄積方法が異なり、まず初めにフルクトースとグルコースが蓄積し、最後にスクロースが蓄積します。フルクトースとグルコースは果実が着色する前に最大値に達し、それ以降は(色が着色しても)変化がありません。

一方スクロースは果実が着色してから蓄積し始め、完熟した頃がピークに達します。

つまり、果実の糖成分の割合の中で、基本的な甘さをスクロースで賄っている品種は完熟するほどに甘さが増してくるということになります。
※代表的な品種:紅ほっぺ

逆に、基本的な甘さをフルクトースやグルコースで賄っている品種は、完熟しなくても比較的、早く収穫しても甘みを感じやすい品種ということになります。
※代表的な品種:さがほのか

イチゴの糖分組成や機構は非常に難しく、植物体内に蓄積したフルクトースやグルコースがスクロースに置き換わったり、スクロースがフルクトースやグルコースに変化することがあるため断言は難しいところがあります。
また、測定する注意点として、
①公平な値を出すには測定値の温度を適切な温度とすること
②糖度の測定については、測定する果実の熟度が7割でも完熟でも果実先端果汁を計測すればほぼ公平に測定できるが、測定する果実の形状や大きさをそろえる必要がある
③酸度の測定については有機酸は変化してしまうので、公平に測定するには熟度と測定日を合わせ収穫後すぐに測定を行う必要がある
などがあります。

糖の種類を分析することは難しく、専用の装置を用いた分析が必要となります。

ぜひご自身の舌で品種の違いによる甘さを楽しんでください。

酵素センサーおよびHPLC による測定値から糖の組成比率を比較

参考文献:イチゴ新品種の流通加工品質向上に関する研究
(令和元年度研究報告 大分県産業科学技術センター)
酵素センサーによるイチゴ果実の組成別糖含量の測定